新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠 完全ガイド|補助上限2,500〜9,000万円・下限750万円の要件
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)の「新事業進出枠」は、自社にとって新規性のある製品・サービスを、自社にとって新たな市場に向けて展開する設備投資を支援する枠です。公募要領によると、①自社にとって新規性のある製品等であること、②その製品等が属する市場が自社にとって新たな市場であること、この2要件を同時に満たす必要があります。補助下限額は750万円、補助上限額は従業員規模に応じて2,500万円〜9,000万円(賃上げ特例適用時)。申請受付は2026年9月30日〜2026年10月30日18時(厳守)です。本ページの内容は公募要領(第1回)に基づきますが、制度は公募回ごとに変更される場合があり、また採択を保証するものではありません。
要件①:「新規性」とは何か——世界初でなくても良い理由
公募要領が定める「新規性」は、申請する中小企業自身にとっての新規性であり、日本初・世界初といった社会的な新規性は求められていません。ただし「過去に製造・提供していた製品等を再び製造・提供する」ことは新規性とみなされません。また、補助金申請を予定する公募回の公募開始日(公募要領公開日)以降に初めて取り組んでいる事業であることが、新規性を有するものとみなす条件とされています。第1回については2026年6月29日が公募要領公開日となります。既存製品の製造量増大や製造方法の単純変更、性能が定量的に有意な差を示せない改良なども対象外と明記されているため、「自社として初めて手がける事業か」を軸に整理することが出発点になります。
要件②:「新たな市場」とは何か——顧客属性で線引きする考え方
公募要領によると、「新たな市場」とは既存事業で対象としていなかったニーズや属性(法人か個人か、業種、行動特性など)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。つまり、製品を変えても顧客層が既存事業と重なる場合は該当しません。注意すべき非該当例として、既存製品と同一市場を対象とするもの(需要が代替される場合や単なるメニュー追加)、既存市場の一部だけを切り取ったもの、単に商圏(地域)が異なるだけのものが公募要領に明示されています。事業計画では「これまで取引していた顧客とどう属性が異なるか」を具体的なデータで示すことが求められます。
既存事業との違いをどう説明するか——事業計画書での整理方法
審査では既存事業との差異が明確に示されているかが重要な論点となります。具体的には、①既存製品・サービスの概要と対象顧客、②新たに手がける製品・サービスの概要と対象顧客、③両者のニーズ・顧客属性の相違点、という3段構成で整理すると論旨が明快になります。公募要領p.43では、新市場・高付加価値事業に関する加点評価として、社会における普及度・認知度の低さ(選択肢①)または同ジャンル内での高水準の高付加価値化・高価格化(選択肢②)のいずれかを客観データで示すことが求められています。RESAS(地域経済分析システム)などのオープンデータを活用して市場規模や業界動向を示すと説得力が高まります。
補助下限額750万円の考え方——計画設計時の注意点
新事業進出枠の補助下限額は750万円です。これは補助金交付額(補助対象経費×補助率)が750万円以上でなければならないことを意味します。注意が必要なのは、採択後の交付審査で経費が削減された結果、交付決定額が750万円を下回った場合、採択が取り消されるという点です。公募要領p.51に明記されており、経費の見積もりは余裕を持って計上しつつ、妥当性を裏付ける根拠(複数見積もりなど)を準備しておく必要があります。また、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが補助対象経費に必ず含まれていなければならないことも要件として定められています。
補助上限額と従業員規模——賃上げ特例時の上限も確認
補助上限額は従業員規模によって異なります。通常枠では1〜20人:2,500万円、21〜50人:4,000万円、51〜100人:5,500万円、101人以上:7,000万円。賃上げ特例(給与支給総額の年平均成長率3.5%以上等の要件を満たす場合)が適用されると、括弧内の上限額(1〜20人:3,000万円、21〜50人:5,000万円、51〜100人:7,000万円、101人以上:9,000万円)まで引き上げられます。賃上げ特例の詳細要件(付加価値額年平均成長率4.0%以上も含む)は公募要領で要確認です。
申請前に必ず準備すべき2つの手続き
電子申請に必要な「GビズIDプライムアカウント」の取得と、「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定・公表が申請の前提条件です。GビズIDの発行には1週間程度、一般事業主行動計画の公表手続きには1〜2週間程度を要するとされています。申請受付開始は2026年9月30日ですが、これらの手続きは早めに着手しないと締切(10月30日18時厳守)に間に合わない可能性があります。手続きの遅れを理由とした申請期限の延長は認められないと公募要領に明記されています。
よくある質問
Q.「自社にとって新規性がある」とはどの時点を基準に判断されますか?
公募要領によると、申請を予定する公募回の公募要領公開日以降に初めて取り組んでいる事業であれば新規性を有するとみなされます。第1回の場合は2026年6月29日が基準日となります。逆に言えば、それ以前から既に手がけていた事業は新規性の要件を満たさない可能性があるため、取り組み開始時期の証跡を整理しておくことが重要です。
Q.「単に商圏が異なるだけ」とはどのような状況を指しますか?
たとえば、地元の小売客に販売していた商品を隣県でも販売しようとする場合のように、製品・サービスの内容も顧客属性も変わらず、販売地域だけが広がるケースが典型例です。このような場合は公募要領が列挙する非該当例に該当し、新事業進出枠の補助対象外となります。顧客の属性(業種・行動特性・ニーズ等)が既存とは明確に異なる新たな顧客層を対象としているかどうかが分岐点になります。
Q.加点評価の①(社会的普及度が低い)と②(高付加価値化)は両方書いた方が良いですか?
公募要領p.43では①と②は「選択制」と明記されています。どちらか一方を選んで、客観的なデータや分析とともに説得力を持って記述することが求められます。両方を中途半端に記載するよりも、自社の強みに合った選択肢を一つ選び、裏付けデータを充実させる戦略が有効と考えられます。どちらを選ぶべきかは事業内容によって異なるため、認定支援機関と相談しながら決定することをお勧めします。
Q.補助対象経費として機械装置か建物費が必須とのことですが、ソフトウェアだけでは申請できませんか?
公募要領p.26によると、新事業進出枠では「機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなければならない」とされています。ソフトウェアがシステム構築費に含まれるかどうかは経費区分の解釈次第であり、公募要領で要確認です。判断が難しい場合は事務局への問い合わせを推奨します。
Q.交付審査で経費が削減されて750万円を下回るとどうなりますか?
採択が取り消されます。公募要領p.51に明記されており、全額対象外となった場合も同様に取り消しとなります。この事態を避けるには、申請時に余裕のある経費計画を立てると同時に、各経費の必要性・妥当性を説明する資料(見積書、仕様書など)を丁寧に準備し、交付審査での削減リスクを最小化することが重要です。
Q.この補助金は旧「ものづくり補助金」の後継ですか?
事務局の公表情報によると、旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」および「中小企業新事業進出補助金」の後継として位置づけられた新制度です。ただし旧制度とは別制度であり、要件・審査基準等が異なる部分があります。旧制度での申請経験があっても、本制度の公募要領を改めて精読することをお勧めします。
Q.申請締切はいつですか?また、締切直前に変更される可能性はありますか?
第1回の申請締切は2026年10月30日18時(厳守)です。公募要領公開当初の予定から約1か月後ろ倒しになった経緯があるため、事務局の公式サイトで最新情報を定期的に確認することをお勧めします。締切時刻を1分でも過ぎると受付されないため、余裕を持って申請手続きを完了させてください。
Q.コンサルタントに申請支援を依頼する際の注意点はありますか?
公募要領では、補助金獲得のみを目的とした申請支援が問題視されており、会社全体の事業計画と連動した支援が重要と強調されています。また、事業計画の作成支援者や金融機関確認書を発行した金融機関への発注・見積もりは補助対象外となるため、支援者の選定には注意が必要です。不審な勧誘を受けた場合は事務局のトラブル通報窓口への連絡が案内されています。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 事務局サイト ・ 公募要領 第1回 p.8 2.新事業進出枠概要 ・ 公募要領 第1回 p.43 ・ 公募要領 第1回 p.26 ・ 公募要領 第1回 p.51 ・ 公募要領 第1回 p.1 ・ 公募要領 第1回 p.3
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公募要領等の一次情報に基づき作成。最終更新:2026/7/30