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新事業進出・ものづくり補助金 付加価値額 完全ガイド|年平均成長率4.0%の設計と返還リスク

監修:松下 大中小企業診断士/認定経営革新等支援機関株式会社SMARTコンサルティング
最終更新:2026/8/1
付加価値額の年平均成長率4.0%以上は返還リスクを伴う「必達目標」

新事業進出・ものづくり補助金(第1回)では、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率(CAGR)が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが基本要件です。公募要領によると、付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で定義され、CAGRは複利計算で算出します。基準年度・目標設定・未達時の取り扱いを正確に理解したうえで事業計画を設計することが、採択後の補助金返還リスクを最小化するカギとなります。本ページの情報は公募回ごとに変更される場合があります。また採択を保証するものではありません。

付加価値額とは何か:3要素の合計が定義

公募要領によると、付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」の合計と定義されています。売上高や粗利益とは異なる指標であるため、既存の財務諸表から正確に拾い出す必要があります。営業利益は売上高から売上原価・販管費を差し引いた値、人件費は役員報酬・従業員給与・法定福利費等を含む総額、減価償却費は当該事業年度に計上された償却費が対象となります。なお、補助事業により発生した利益や付加価値額の大部分が補助事業者以外に帰属する事業は補助対象外となる場合があるため、ビジネスモデルの設計時にも注意が必要です。

CAGR(年平均成長率)の計算方法:複利計算が必須

公募要領は「複利計算をもとに算出してください」と明記しています。一般的なCAGRの計算式は「(最終年度の付加価値額 ÷ 基準年度の付加価値額)^(1 ÷ 計画年数)- 1」で求められます。例えば基準年度の付加価値額が1,000万円で5年間の計画期間を設定する場合、4.0%成長を続けると最終年度の目標値は約1,217万円となります(1,000万円×1.04^5)。単純平均(算術平均)で計算すると過大または過小評価になるため、必ず複利ベースの計算式を用いてください。申請書類への記載方法については公募要領で要確認です。

基準年度の設定:「補助事業実施期間終了時点が含まれる事業年度」

公募要領によると、比較の基準となる付加価値額は「補助事業実施期間の終了時点が含まれる申請者の事業年度の付加価値額」を使用します。つまり申請時点の直近決算期ではなく、補助事業(設備導入・開発等)が終了した時点を含む事業年度が基準年度となります。補助事業の実施期間は採択後の交付決定から補助事業完了まで続くため、自社の決算期と補助事業終了見込み時期を照らし合わせて基準年度を特定することが重要です。基準年度が確定すると、その後3〜5年間の計画期間における目標付加価値額が具体的に算出できます。

申請者自身が目標値を設定する:4.0%は最低ライン

公募要領では「申請者自身で付加価値額基準値(4.0%)以上の目標値(付加価値額目標値)を設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要」と定めています。4.0%はあくまで下限であり、自社の事業見通しに応じてより高い成長率を設定することも可能です。ただし目標値を高く設定するほど、未達時の返還リスクも高まります。事業の実現可能性と財務インパクトを慎重に試算したうえで、根拠のある目標値を設定することが求められます。

未達時の取り扱い:付加価値額要件には明示的な返還規定が存在

公募要領では付加価値額要件の未達に関する返還計算式の詳細は本抜粋内に明記されていませんが、賃上げ要件や事業場内最賃水準要件との連動が明確に定められています。特に注目すべきは、賃上げ要件(一人当たり給与支給総額の年平均成長率)の返還免除条件として「付加価値額が増加していない、かつ企業全体として事業計画期間の過半数が営業利益赤字」の場合が挙げられている点です。逆に言えば、付加価値額が増加していれば賃上げ未達でも免除されないケースがあり、付加価値額の推移が他の要件の返還判定にも影響します。付加価値額要件自体の返還ルールの詳細は公募要領で要確認です。

他の基本要件との関係:3要件はセットで管理する

付加価値額要件に加え、賃上げ要件(一人当たり給与支給総額の年平均成長率)と事業場内最低賃金要件(地域別最低賃金より30円以上高い水準を毎年維持)も基本要件として課されています。事業場内最低賃金要件については、年次の事業化状況報告のたびに未達が確認された場合「補助金交付額 ÷ 事業計画期間の年数」の返還が求められます。3つの要件は連動して判定されるため、付加価値額の成長計画を立てる際には人件費の増加が付加価値額の構成要素にもなるという相互関係を意識した一体的な計画設計が不可欠です。

返還が免除される条件:天災・赤字経営のセーフハーバー

公募要領によると、「付加価値額が増加していない、かつ企業全体として3〜5年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合」または「天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合」は返還が免除される場合があります(賃上げ要件・最賃要件のいずれにも同様の規定あり)。ただしこれはあくまで例外規定であり、補助金返還額の上限は「交付された補助金額」とされています。事業計画策定時から保守的なシナリオを想定し、目標未達を招く外部リスクも含めてリスクマネジメントを行うことを推奨します。

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よくある質問

Q.付加価値額の計算に役員報酬は含まれますか?

公募要領の定義では付加価値額の構成要素を「営業利益+人件費+減価償却費」としています。一般的に人件費には役員報酬が含まれるケースが多いですが、自社の財務諸表上の科目区分と一致させる必要があります。具体的な集計方法の詳細は公募要領で要確認です。

Q.計画期間を3年にすべきか5年にすべきか、どう判断しますか?

計画期間は3〜5年の範囲で申請者が設定します。期間が短いほど各年の成長ハードルが高くなり(同じ最終目標値でも年率が上昇)、長いほど1年当たりの目標は緩やかになる一方で不確実性が増します。自社の設備投資サイクルや市場見通し、資金計画と照らし合わせて、現実的に達成できる年数を選ぶことが重要です。

Q.補助事業実施中(採択後・事業完了前)に既存事業の業績が悪化した場合、基準年度の付加価値額は変わりますか?

公募要領によると基準年度は「補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度」と定められているため、補助事業が完了するまでの業績変動が基準値に影響します。業績悪化により基準値が下がれば目標達成が相対的に容易になりますが、業績好調なら逆に目標が高くなる点にも留意が必要です。

Q.故意に付加価値額を低く見せて基準値を下げることはできますか?

賃上げ要件に関しては「故意または重過失により一人当たり給与支給総額を引き下げることで要件を達成することは認められない」と公募要領に明記されています。同様の趣旨は付加価値額の操作にも及ぶと考えるべきであり、不正な操作は採択取り消しや補助金全額返還の対象となるリスクがあります。

Q.付加価値額目標を達成しても、他の要件が未達なら返還が発生しますか?

各要件は独立して判定されます。付加価値額が目標を達成していても、賃上げ要件や事業場内最低賃金要件が未達であれば、それぞれの計算式に基づく返還が求められる場合があります。ただし付加価値額の増加状況は他要件の返還免除判定にも影響するため、3要件を連動して管理することが重要です。

Q.新事業進出・ものづくり補助金は旧ものづくり補助金と同じ制度ですか?

別制度です。事務局の公表情報によると、本補助金は旧「中小企業新事業進出補助金」と旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を統合した新制度として2026年度(令和8年度)に創設されました。要件・補助率・対象経費が変更されているため、旧制度の経験をそのまま流用せず、本制度の公募要領を改めて確認することをお勧めします。

Q.第1回の申請締切はいつですか?

事務局の公表情報によると、第1回の申請受付開始は2026年9月30日、締切は2026年10月30日18時(厳守)とされています(当初予定から約1か月後ろ倒しされました)。採択発表は2027年1月頃の予定です。締切時刻は厳守とされているため、余裕をもって電子申請の準備を進めてください。

出典:新事業進出・ものづくり補助金 事務局サイト公募要領 第1回 p.11公募要領 第1回 p.12公募要領 第1回 p.11 1.基本要件(1)公募要領 第1回 p.13公募要領 第1回 p.25

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公募要領等の一次情報に基づき作成。最終更新:2026/8/1