飲食向けの新事業進出・ものづくり補助金活用ガイド:対象になりやすい設備・経費、3つの申請枠の選び方、申請で押さえるポイント
最終更新:2026/7/12|監修:中小企業診断士・認定経営革新等支援機関
新事業進出・ものづくり補助金(第1次)は、製造業に限らず飲食業も対象になり得る補助金です。ただし「技術的革新性のある製品・サービスの開発」「既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出」「海外市場開拓」のいずれかに該当することが前提です。補助率は1/2〜2/3、補助上限は最大9,000万円(賃上げ特例適用時)。2026年8月31日受付開始・9月30日18時締切(第1次)。本制度は2026年度に創設された新制度であり、公募回ごとに内容が変更される場合があります。必ず最新の公募要領でご確認ください。
この補助金の基本構造:3つの枠を理解する
補助金は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠で構成されています。飲食業が最も関わりやすいのは新事業進出枠(既存の飲食事業と異なる新市場への進出)ですが、革新性の高い新メニュー開発や新サービスなら革新的新製品・サービス枠、海外輸出を目指すなら自発的な取り組みを条件にグローバル枠も選択肢になります。補助下限額はいずれも750万円で、小規模な設備投資だけでは対象になりません。補助上限・補助率は枠と従業員数によって異なるため、詳細は後述します。
各枠の補助上限・補助率:飲食業が選ぶ枠の目安
公募要領に記載された数値をもとに整理します。【新事業進出枠・革新的新製品・サービス枠(共通)】補助率:中小企業者1/2(賃上げ特例等で2/3に引上げ可)、補助上限:従業員1〜20人で2,500万円(賃上げ特例適用で3,000万円)、21〜50人で4,000万円(5,000万円)、51〜100人で5,500万円(7,000万円)、101人以上で7,000万円(9,000万円)。【グローバル枠】補助率:中小企業者2/3、補助上限・下限は新事業進出枠と同水準。補助事業実施期間はいずれも交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)。革新的新製品・サービス枠の補助上限・下限等の詳細は公募要領で要確認。
飲食業で対象になりやすい設備・経費の例
補助対象経費として公募要領に明記されているのは、機械装置・システム構築費、建物費(新事業進出枠・グローバル枠)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などです。飲食業に置き換えると、新たな加工食品製造ライン(機械装置費)、冷凍設備や新業態の厨房設備(機械装置費)、ECシステム構築(システム構築費)、新業態への改装(建物費:新事業進出枠・グローバル枠のみ)、新商品のパッケージデザイン・販促費などが想定されます。ただし、「専ら補助事業のために使用される」ことが条件であり、既存事業と兼用する設備は対象外となる可能性があります。また、車両・船舶・航空機は明示的に対象外です。具体的な経費の適否は公募要領で要確認。
申請枠の選び方:飲食業の3パターン
【パターン1:新業態や新商品開発で差別化したい場合】革新的新製品・サービス枠が候補。技術的革新性が求められるため、既存メニューの改良程度では不十分です。【パターン2:飲食とは異なる事業領域(例:食品製造・通販・セントラルキッチン構築)に進出する場合】新事業進出枠が候補。既存の飲食事業と「異なる新市場」への進出であることが条件で、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須経費です。【パターン3:自社食品を海外に輸出したい場合】グローバル枠が候補。ただし「自発的な取り組み」であることが必須で、取引先主導の輸出は対象外。また「新たな海外市場」(これまで進出していない国・地域)への開拓が条件です。どの枠も補助下限750万円以上の事業規模が必要です。
審査で評価されるポイント:事業計画書の核心
公募要領の審査基準によると、評価の軸は主に3点です。①補助対象事業の要件を満たし、経費が目的達成に真に必要かつ合理的な額であること。②経営戦略との整合性:これまでの事業との一貫性、外部環境(市場・顧客動向)と自社の強み・弱みを踏まえた競争優位性、課題解決に向けた高付加価値化の実効性。③事業の実現可能性:付加価値額・賃上げの目標値と実現可能性、遂行体制の十分性、顧客ターゲット・ニーズの明確性、スケジュールの妥当性、財務状況と資金調達の見通し。飲食業の場合、「なぜ今この新事業が必要か」「競合との差別化はどこか」「売上・利益の根拠は何か」を数字と市場データで裏付けることが重要です。一過性の支出が大半を占める計画は対象外となる点にも注意が必要です。
申請前に必ず確認すべき注意事項
①GビズIDの取得:電子申請に必須で、取得まで2〜3週間かかります。締切(9月30日18時)から逆算して早期取得を。②機械装置・システム構築費は全枠で必須。新事業進出枠・グローバル枠では建物費との選択制ですが、どちらか一方が必ず含まれていなければなりません。③採択=経費の全額認定ではありません。交付審査・実績報告時に各経費の適否が改めて確認されます。④補助事業実施期間は交付決定日から14か月以内。採択後すぐに発注できる体制を整えておく必要があります。⑤本制度は2026年度に創設された新制度(旧ものづくり補助金・旧中小企業新事業進出補助金とは別制度)です。公募回ごとに内容が変わる可能性があるため、必ず最新の公募要領を参照してください。
スケジュール感と準備のロードマップ
第1次の受付期間は2026年8月31日〜9月30日18時です。締切まで約1か月という短期間のため、今すぐ動き出す必要があります。推奨ステップ:①GビズID申請(今すぐ)→②事業計画の骨子作成・認定支援機関への相談(8月中旬まで)→③事業計画書・経費明細の作成(8月中旬〜9月上旬)→④電子申請(9月30日18時までに完了)。認定経営革新等支援機関(認定支援機関)への相談が推奨されますが、要件については公募要領で要確認。
新事業進出・ものづくり補助金の申請、専門家に無料で相談する
無料で相談するよくある質問
Q.飲食店のリフォーム費用は補助対象になりますか?
建物費は新事業進出枠とグローバル枠の補助対象経費に含まれています。ただし「専ら補助事業のために使用される」ことが条件で、既存の飲食事業に使い続ける店舗の単なる改装は対象外となる可能性が高いです。新業態への進出など補助事業目的に直結する内装工事かどうかが判断の分かれ目になります。具体的な適否は公募要領および認定支援機関にご確認ください。
Q.補助下限額750万円とはどういう意味ですか?小規模な設備投資では申請できないのですか?
補助下限額750万円とは「補助金として受け取る金額の最低ライン」を指します。補助率が1/2の場合、補助対象経費の合計が最低でも1,500万円以上(750万円÷1/2)必要になります。小規模な設備投資のみでは申請要件を満たせない点に注意が必要です。
Q.飲食業でグローバル枠を使う場合、どんな条件がありますか?
グローバル枠は①自社製品を活用した自発的な新たな海外販路の開拓であること、②その市場が「新たな海外市場(既存事業でカバーしていない国・地域)」であることが必須条件です。取引先から依頼された輸出は「取引先主導」として対象外になります。飲食業であれば、自社食品・ソースなどを自ら企画して初めて海外展開するようなケースが該当しやすいです。
Q.採択されれば申請した経費はすべて補助されますか?
採択はあくまで「交付候補者としての選定」であり、申請時に計上した経費がすべて補助対象として認められるわけではありません。交付審査や実績報告の段階で各経費の適否が改めて確認されます。不適切と判断された経費は補助対象外となるため、申請前に経費の根拠を十分に整理しておくことが重要です。
Q.旧ものづくり補助金を受けたことがありますが、この補助金は別制度ですか?
はい、別制度です。本補助金は2026年度に創設された新制度で、旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と旧「中小企業新事業進出補助金」を統合した後継制度に相当しますが、制度としては新規に設立されています。過去の採択歴が本補助金の申請を妨げるか否かは公募要領で要確認です。
Q.事業計画書はどの程度の分量・内容が求められますか?
公募要領では、経営戦略との整合性、事業の実現可能性(市場データ・ニーズの裏付け・目標数値・スケジュール・財務状況)などが審査項目として明記されています。具体的な書式・ページ数・記載項目の詳細は公募要領で要確認。認定経営革新等支援機関に相談しながら作成することを強くお勧めします。
Q.食品の原材料費は補助対象になりますか?
原材料費は補助対象経費の区分に含まれています。ただし「補助事業の事業化に必要不可欠」であることが前提で、一過性の支出が経費の大半を占める場合は対象外となる可能性があります。たとえば試作品開発に必要な原材料は対象になり得ますが、通常の仕入れや量産品の原材料は対象外と判断される可能性が高いため、詳細は公募要領でご確認ください。
Q.申請にあたって認定支援機関は必須ですか?
認定経営革新等支援機関の関与要件については、公募要領で要確認です。ただし、審査では事業計画の実現可能性や財務状況が厳しくチェックされるため、認定支援機関に相談しながら計画を策定することを強くお勧めします。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 事務局サイト ・ 公募要領 第1次 p.9 3. ・ 公募要領 第1次 p.8 7補助対象経費 ・ 公募要領 第1次 p.9 8補助上限額(補助下限額 ・ 公募要領 第1次 p.26 1.補助対象経費の区分」で定める経費です ・ 公募要領 第1次 p.26 1. ・ 公募要領 第1次 p.42 3.補助対象事業の要件」を満たすか
公募要領等の一次情報に基づき作成。最終更新:2026/7/12