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補助金はいつ「収入」になるのか|決算期をまたぐ場合の計上時期と、区分経理・書類保存の実務

監修:松下 大中小企業診断士/認定経営革新等支援機関株式会社SMARTコンサルティング
最終更新:2026/7/25

先に結論を書きます。補助金が収入になるのは入金された日ではなく、交付を受けることが具体的に確定した日の属する事業年度です。したがって、期末までに補助金額が確定していれば、入金が翌期であっても当期に未収入金として計上します。さらに、支出した経費を補填する目的の助成金については、期末時点で金額が確定していなくても見積って当期の益金に算入するという取扱いが法人税基本通達に置かれています。この記事では、交付決定日・実績報告日・確定通知日・入金日という4つの日付のどれを基準にするのか、決算期をまたぐときのタイムライン、補助事業の区分経理をどう作るか、そして補助金側5年・法人税7年という保存年限のズレを整理します。個社の税務判断は所轄税務署と顧問税理士に確認してください。

結論:入金日では計上しない。基準は「交付を受けることが具体的に確定した日」

経理担当が最初に外してはいけないのは、補助金の収益計上時期を入金日で決めてしまうことです。法人税は現金の出入りではなく、収益が確定したかどうかで年度を切ります。法人税法は益金の額に算入すべき金額を、別段の定めがあるものを除き、資本等取引以外の取引に係る収益の額とすると定めており、実務ではその収益をいつ計上するかを「権利が確定したか」で判断します。補助金も同じ枠組みに乗ります。 そこから導かれる結論は2つです。第一に、期末までに補助金を受け取る権利が具体的に確定していれば、入金が翌期になっても当期の益金に算入します。仕訳としては未収入金(未収補助金)を立てる形になります。第二に、期末時点でまだ確定していなければ、入金の見込みがあるというだけでは当期の益金にはなりません。ただしこの第二の原則には、次の第4節で扱う経費補填型の助成金という例外があります。 設備投資型の補助金でこれが効いてくるのは、事業年度をまたいだときです。決算月に額の確定通知が届き、実際の振込は翌期の初め——という並びは珍しくありません。このとき「まだ入っていないから来期」と処理すると、当期の課税所得が過少になります。逆に、入金を待たずに前倒しで計上してしまうケースも同じくらい起きます。どちらも修正申告や更正の対象になり得るので、期末の残1か月は補助金関係の通知書の日付を必ず経理に回す運用にしてください。 なお、この記事は制度の建て付けと公表資料に基づく一般的な整理です。自社の補助金がどの日をもって確定したと評価されるかは、その補助金の性質と交付規程の定めに左右されます。最終的な判断は所轄税務署と顧問税理士に確認してください。

4つの日付を整理する|交付決定日・実績報告日・確定通知日・入金日

補助事業には、経理が基準にしがちな日付が4つあります。それぞれ意味が違うので、まず何が起きた日なのかを揃えます。 交付決定日は、事務局が「この内容・この経費配分でこの事業を実施してよい」と決定した日です。ここで示される補助金額は上限として働きます。実際にいくら受け取れるかは、この時点ではまだ動きます。対象外と判定される経費が出れば減りますし、実際の契約額が見積を下回れば補助金も下がります。 実績報告日は、事業者側が「こう実施し、こう支払いました」と申告した日です。これは自社の行為であって、事務局の意思決定ではありません。この日をもって金額が確定するわけではない点に注意してください。 確定通知日は、実績報告を受けた事務局が確定検査を行い、補助金の額を確定して通知した日です。実務上、返還を要しない補助金の額がここで固まります。設備投資型の精算払いの補助金では、この日が収益の確定時点として意味を持つのが通常の姿です。 入金日は、確定した債権が回収された日です。会計上は未収入金の消込であって、収益の発生ではありません。 どの日を収益確定日とするかを、この記事で一律に断定することはしません。交付決定の段階ですでに金額が具体的に確定していると評価できる補助金もあり得るからです。判断の材料は、その制度の交付規程が「いつ、どの通知で、いくらが確定するか」をどう定めているかにあります。交付規程の該当条文を印刷して、顧問税理士に渡してください。

  • 交付決定日:事業実施の許可と補助金の上限額が決まる日。実際の受給額はまだ動く
  • 実績報告日:事業者側の申告日。事務局の意思決定ではないため、この日で金額は固まらない
  • 確定通知日:確定検査を経て補助金の額が確定した日。返還不要の金額がここで固まる
  • 入金日:債権の回収日。未収入金の消込であって収益の発生ではない
  • どの日で確定と評価するかは補助金の性質と交付規程の定めによる。所轄税務署・顧問税理士に確認する

決算期別タイムライン:期末に確定・翌期入金という典型ケースの処理

決算期をまたぐパターンは、大きく2つに分かれます。自社がどちらかを最初に判定してください。 パターンA:期末までに額の確定通知が届き、入金が翌期。これが最も事故が多い形です。確定通知の日付が当期にある以上、入金が翌期でも当期の益金として未収計上する方向で検討することになります。3月決算で2月に事業完了・3月に確定通知・5月に入金なら、当期に収益、翌期に入金という並びです。決算作業の段階で通知書が経理の手元に来ていないと、そのまま漏れます。 パターンB:期末までに交付決定は出ているが、事業はこれから、額の確定通知もまだ。この場合、当期に益金を計上する余地は通常ありません。交付決定は上限額の決定であって受給額の確定ではないからです。3月決算で、1月に採択発表・3月に交付決定・翌期に設備導入と実績報告、という並びがこれに当たります。 ここで生じるもう一つのズレが、費用と収益の期間対応です。補助事業の支出は事業実施期間に発生し、設備の減価償却は取得して事業の用に供した時点から始まります。一方で補助金収入は額の確定まで立ちません。事業実施期間が期をまたぐと、自己資金で先に支出した期と、補助金収入が立つ期がずれます。設備を取得するための補助金については、この一時の課税を繰り延べるための圧縮記帳という制度が法人税法に用意されていますが、要件と経理方法は別記事で扱います。 もう一点、資金繰りの話として押さえてほしいことがあります。補助金は原則として後払いです。実績報告と確定検査を経てからの入金になるため、事業実施期間中は補助金相当額を自己資金か借入で立て替えます。決算をまたぐと、この立替が期をまたいで貸借対照表に残ります。つなぎ資金の手当てを、税務処理とは別に金融機関と詰めておいてください。

  • パターンA(期末までに額の確定通知あり・入金翌期):当期に未収入金を計上する方向で検討する
  • パターンB(交付決定のみ・額は未確定):交付決定は上限額の決定であり、通常は当期の益金にならない
  • 経費補填型の助成金は例外的に見積計上を要する場合がある(次節)。まず自社の補助金がどの型かを判定する
  • 決算前に、交付決定通知書・額の確定通知書の日付を経理へ回す運用を作る
  • 事業実施期間が期をまたぐと、支出の期と収益の期がずれる。設備分の繰延べは圧縮記帳の論点(別記事)
  • 補助金は原則後払い。立替資金が期をまたいで残ることを資金計画に織り込む

経費補填型の助成金:期末に金額が確定していなくても見積計上する

設備投資型の補助金と切り分けて考える必要があるのが、支出した経費を補填する目的の助成金です。雇用調整助成金やキャリアアップ助成金のように、休業手当・賃金・職業訓練費などの支出を後から補填する性質のものが該当します。 法人税基本通達には「法人が支出した費用を補塡するための助成金等の収益計上時期」を定めた項があり、次の趣旨の取扱いが示されています。原則はその支給決定があった日の属する事業年度の益金に算入する。ただし、補填の対象となる経費をすでに支出していて、支給決定の日がその支出した事業年度より後の事業年度になるときは、支出した事業年度の終了の日において交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積って当該事業年度の益金の額に算入する——という組み立てです。正確な条番号と文言は、国税庁が公開している法人税基本通達で確認してください。 趣旨は費用と収益の期間対応にあります。人件費だけを当期に落として、それを補填する助成金を翌期の収益にすると、当期の利益が実態より小さく出ます。だから見積ってでも当期に載せる、という考え方です。 実務で必要になるのは、見積額の根拠を残すことです。申請書の控え、助成率、対象人数・対象日数の計算過程を、決算資料として綴じておきます。確定額が見積額とずれた場合は、確定した事業年度で差額を調整することになります。 重要なのは、この取扱いを設備投資型の補助金にそのまま当てはめないことです。この項が対象としているのは、法人が支出した費用を補塡するための助成金等であり、固定資産の取得に充てるための補助金とは性質が異なります。自社の補助金がどちらの性質なのか、対象経費の内訳(機械装置費なのか、人件費・経費なのか)まで戻って判定してください。判定が割れるようなら、所轄税務署と顧問税理士に確認するのが確実です。

区分経理:補助事業の収支を他の事業と明確に分ける義務と、その作り方

補助事業には、収支を他の経理と明確に区分して整理する義務があります。経済産業省の補助事業事務処理マニュアルは、補助事業に係る経理を他の経理と明確に区分して処理することを求めており、各制度の交付規程にも帳簿と証拠書類の整理・保管に関する条項が置かれています。これは会計方針の好みの問題ではなく、確定検査で「この支出が補助事業のものである」と示せるかどうかの問題です。 具体策は4つあります。 第一に、会計ソフト側で切ること。勘定科目の下に「補助事業(制度名・公募回)」の補助科目を作るか、部門・プロジェクトコードを1本立てて、補助事業に関係する仕訳をすべてそこに紐づけます。これができていると、補助事業の収支だけを抜いた元帳を一発で出せます。確定検査の準備工数がここで決まります。 第二に、口座の扱い。補助事業専用口座を一律に必須と断定することはできません。要否は各制度の交付規程で確認してください。ただし実務としては、補助対象経費の支払元口座を1つに固定し、通帳の摘要で追える状態にしておくと検査が早く終わります。取引量が多くて他の支払に紛れるなら、専用口座を開設するのが最も確実です。 第三に、証憑のファイリング単位を「経費1件」にすること。見積書(相見積を含む)、発注書・契約書、納品書、検収書、請求書、振込明細——この一式を1つの経費についてまとめて綴じます。書類の種類ごとに分けて綴じるファイリングは、確定検査では最悪の形です。1件の経費を追うのに6冊のファイルを行き来することになります。 第四に、時系列で並べること。発注→納品→検収→請求→支払の順に日付が並んでいることが、綴じた状態で一目で分かるようにします。日付の逆転(納品書が発注書より前、支払が交付決定日より前など)は検査で必ず指摘されます。並べた時点で自社が気づける形にしておくのが目的です。

  • 会計ソフト:補助事業用の補助科目または部門・プロジェクトコードを1本立て、関係する仕訳をすべて紐づける
  • 口座:専用口座の要否は交付規程で要確認。最低限、支払元口座を1つに固定して通帳で追える状態にする
  • ファイリング単位は経費1件。見積・相見積・発注書・契約書・納品書・検収書・請求書・振込明細を1セットで綴じる
  • 書類の種類ごとに分ける綴じ方をしない。1件の経費を6冊の往復で追う羽目になる
  • 時系列で並べ、発注→納品→検収→請求→支払の順序が崩れていないかを自社で先に確認する
  • 交付決定日より前の日付の発注書・契約書が紛れていないかを、綴じる段階でチェックする
  • 補助事業の収入(補助金)と支出を明らかにした帳簿を備え、証拠書類とともに整理して保管する

保存年限のズレ:補助金は「事業完了年度の終了後5年」、法人税は7年(欠損金なら10年)

同じ請求書に対して、複数の保存年限が同時にかかります。しかも起算点が違うので、片方の基準で捨てるともう片方に違反します。 補助金側の定めは各制度の交付規程にあります。多くは「補助事業の完了の日の属する国の会計年度の終了後5年間」という形で、帳簿と証拠書類の保存年限を定めています。ここで効くのは起算点が国の会計年度(4月1日から翌年3月31日)だという点で、自社の決算期ではありません。仮に2027年12月に補助事業が完了したなら、その日の属する国の会計年度は2028年3月31日に終わり、そこから5年で2033年3月31日までが目安になります。年限と起算点の書き方は制度ごとに違うので、自社が使う制度の交付規程で必ず確認してください。 法人税側は別の物差しです。国税庁のタックスアンサーNo.5930によれば、帳簿書類の保存期間は原則7年で、起算点は確定申告書の提出期限の翌日です。加えて、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度については10年間(平成30年4月1日以後に開始する事業年度の場合)とされています。上の例で3月決算・申告期限が2028年5月31日なら、7年は2035年5月末、欠損金があれば2038年5月末まで届きます。 さらに会社法があります。会社法第432条第2項は、会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を、帳簿閉鎖の時から10年間保存しなければならないと定めています。 結論はシンプルです。補助金側の5年が一番短いので、5年を基準に廃棄すると税法と会社法に違反します。実務では最も長い年限に揃えて保存してください。運用としては、補助事業ファイルの背表紙に「廃棄可能年月(3つの年限のうち最も遅い日)」を書いておくと、担当者が代わっても誤って捨てられません。 もう一つ、原本の所在を決めておいてください。実績報告で事務局に提出するのは写しであることが一般的ですが、提出物の扱いは制度によって異なるため交付規程で確認が要ります。原本は補助事業ファイルに置き、税務側からはインデックスで参照できるようにしておくのが、両方の検査に耐える形です。

  • 補助金側:多くの交付規程が「補助事業の完了の日の属する国の会計年度の終了後5年間」を定める。起算点は自社決算期ではない
  • 法人税:原則7年、起算点は確定申告書の提出期限の翌日(国税庁 No.5930)
  • 法人税の例外:青色申告で欠損金額が生じた事業年度は10年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度)
  • 会社法第432条第2項:会計帳簿と事業に関する重要な資料は帳簿閉鎖の時から10年間保存
  • 最も長い年限に揃えて保存する。補助金の5年で廃棄判断をしない
  • ファイルの背表紙に廃棄可能年月を明記し、担当交代でも誤廃棄しない運用にする
  • 原本の所在を決める。実績報告への提出物の扱いは制度ごとに交付規程で要確認

立入検査で何が見られるか|適正化法に基づく報告徴収・帳簿書類の検査

補助事業の書類は、確定検査で終わりではありません。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)は、補助金等に係る予算の執行の適正を期するために必要があるときに、補助事業者等に報告をさせ、職員が事務所・事業場等に立ち入って帳簿書類その他の物件を検査し、関係者に質問することができる旨の規定を置いています。条番号と正確な文言はe-Gov法令検索で確認してください。加えて、各制度の事務局による確定検査や、事業化状況報告の期間中の現地確認もあります。 見られるものは、書類と現物と支払の三点セットです。 第一に、帳簿と証拠書類の整合。補助事業の元帳に載っている金額と、綴じてある請求書・振込明細の金額が一致するか。前節の区分経理ができていれば、ここは数分で終わります。できていなければ、その場で総勘定元帳を繰ることになります。 第二に、支払の事実。振込明細や通帳で、誰にいつ支払ったかを確認します。現金払いや、代表者個人口座からの立替払いが混じっていると説明に手間がかかります。相殺や手形での決済も、期間内に支払が完了したと言えるかが論点になります。 第三に、現物と稼働。設備が申請どおりの場所に設置され、シリアル番号・銘板が書類と一致し、実際に稼働しているか。取得財産の管理台帳が整備され、処分制限期間中の財産が無断で処分・移設されていないかも確認の対象です。 加えて、補助事業と関係のない経費が紛れていないか、日付の順序が崩れていないか、相見積が実在するか(同一系列や関係会社からの形式的な見積になっていないか)が見られます。 不備が交付決定の内容や条件への違反と判断される事態に至れば、適正化法の枠組みに乗ります。第17条により交付決定の全部または一部が取り消され、第18条により既に交付済みの補助金について期限を定めた返還が命じられ、第19条により受領日から納付日までの日数に応じ年10.95パーセントの加算金を国に納付することになります。区分経理と証憑の整理は、この結末を避けるためのコストだと考えてください。

  • 帳簿と証拠書類の整合:補助事業の元帳と請求書・振込明細の金額が一致するか
  • 支払の事実:振込明細・通帳で相手先と日付を確認。現金払いや個人口座立替は説明負担が増える
  • 現物と稼働:設置場所、銘板・シリアル番号と書類の一致、実際に動いているか
  • 取得財産管理台帳の整備と、処分制限期間中の財産の状況
  • 補助事業と無関係な経費の混入、日付の順序の逆転、相見積の実在性
  • 違反と判断されれば、適正化法第17条の取消・第18条の返還命令・第19条の年10.95%加算金に至り得る

消費税:補助金は不課税収入。ただし仕入控除税額の報告・返還が後から来る

経理でもう一つ落とし穴になるのが消費税です。補助金の受領は対価性のない収入なので、消費税の課税取引にはあたりません(不課税収入)。ここまでは多くの担当者が知っています。 問題はその先です。多くの補助金では、補助対象経費に含まれる消費税相当額は補助対象外として扱われます。そのうえで各制度の交付規程は、消費税及び地方消費税の確定申告により補助金に係る仕入控除税額が確定した場合、その額を事務局に報告し、相当額を返還する旨の条項を置いていることが一般的です。つまり補助事業が終わり、確定通知を受け、入金まで済んだ後に、消費税の申告を経てもう一度お金が動く可能性があります。 この報告は、補助事業の完了から見ると1年近く後になることがあります。担当者が異動していたり、補助事業ファイルが倉庫に入っていたりすると、期限までに気づけません。額の確定通知を受け取った時点で、翌年度の消費税申告後に報告義務があるかどうかを交付規程で確認し、社内カレンダーに登録しておいてください。 報告様式・期限・返還の要否は制度ごとに異なり、免税事業者や簡易課税制度を選択している場合の扱いも変わります。この記事で自社に当てはまる結論を書くことはできません。自社が使う制度の交付規程の該当条項と、消費税の課税方式の選択状況を突き合わせて、顧問税理士に確認してください。

決算前チェックリスト:期をまたぐときに経理が確認する項目

最後に、決算作業に入る前に潰しておく項目を並べます。ここに空欄が残るなら、まだ数字が固まっていません。特に上の3項目は、決算を締めてから気づくと修正申告の話になります。 このリストの目的は、経理担当が顧問税理士に相談するときの材料を先に揃えることです。「補助金をもらいました、どう処理しますか」ではなく、「この制度で、交付決定は◯月◯日、確定通知は◯月◯日、入金予定は◯月、対象経費は機械装置費が中心です」という形で持ち込めば、判断が一往復で済みます。

  • 交付決定通知書・額の確定通知書の日付を、決算前に経理が現物で確認したか
  • 期末までに額が確定している補助金について、未収入金の計上要否を税理士と確認したか
  • 自社の補助金が「固定資産の取得に充てるもの」か「支出した経費を補填するもの」かを判定したか
  • 経費補填型に該当する場合、期末に未確定でも見積計上が必要かを確認し、見積根拠を決算資料に綴じたか
  • 設備取得分について圧縮記帳を使うかどうかを、決算を締める前に決めたか(要件と経理方法は別記事)
  • 補助事業の補助科目・部門コードで、補助事業の収支だけを抜いた元帳を出せる状態か
  • 証憑が経費1件単位・時系列で綴じられ、交付決定日より前の日付の発注書が混じっていないか
  • 補助金側・法人税・会社法の3つの保存年限を突き合わせ、最も遅い廃棄可能年月をファイルに明記したか
  • 消費税の仕入控除税額の報告義務の有無を交付規程で確認し、報告時期を社内カレンダーに入れたか
  • 以上の処理方針について、所轄税務署または顧問税理士の確認を取ったか

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よくある質問

Q.期末に交付決定が出て、入金は翌期です。どちらの期の収益になりますか。

交付決定は補助金の上限額の決定であって、受給額の確定ではありません。実際に受け取る額は、実績報告と確定検査を経た額の確定通知で固まるのが通常の姿です。したがって、期末時点で交付決定しか出ていないなら当期の益金に立てる余地は通常なく、額の確定通知が当期に出ていれば入金が翌期でも当期に未収入金として計上する方向になります。ただし、どの日をもって具体的に確定したと評価するかは補助金の性質と交付規程の定めによります。交付規程の該当条文を顧問税理士に渡して確認してください。

Q.期末時点で申請済みですが、まだ交付決定も確定通知もありません。計上は必要ですか。

固定資産の取得に充てるための補助金であれば、申請しただけの段階で益金に立てることは通常ありません。一方、支出した経費を補填する目的の助成金については、法人税基本通達に、経費を先に支出していて支給決定が翌期になる場合は期末に金額が確定していなくても見積計上するという趣旨の定めがあります。自社の補助金がどちらの性質かで結論が変わるため、対象経費の内訳まで戻って判定し、所轄税務署または顧問税理士に確認してください。

Q.補助金が入金された期に全額課税されると資金繰りがもちません。何か方法はありますか。

固定資産の取得または改良に充てるための国庫補助金等については、法人税法に圧縮記帳という制度が用意されており、要件を満たせば一時の課税を繰り延べる余地があります。ただし返還を要しないことが確定していること、所定の経理処理を行うことなど要件があり、繰延べであって免税ではありません。要件と経理方法は税制の記事で扱います。適用の可否は個社の状況によるため、決算を締める前に顧問税理士と確認してください。

Q.補助事業専用の銀行口座は必ず作らなければいけませんか。

一律に必須と断定することはできません。専用口座の要否は各制度の交付規程で確認してください。求められているのは、補助事業に係る経理を他の経理と明確に区分し、収支を帳簿と証拠書類で説明できる状態にすることです。会計ソフトの補助科目や部門コードで区分し、支払元口座を1つに固定して通帳で追える状態にできるなら、それでも説明はつきます。取引量が多く他の支払に紛れる場合は、専用口座を作るのが最も確実です。

Q.証憑の原本を事務局に提出すると、税務調査のときに手元になくなりませんか。

実績報告で提出するのは写しであることが一般的ですが、提出物の扱いと原本の保管責任は制度ごとに定めが異なるため、交付規程で確認が必要です。実務としては、原本は補助事業ファイルに集約して自社で保管し、事務局には写しを提出、税務側からはインデックスで参照できるようにしておくのが両方の検査に耐える形です。提出前に必ず全ページの写しを取り、提出日と提出先を記録に残してください。

Q.保存年限は結局何年に揃えればいいですか。

最も長い年限に揃えてください。補助金側は多くの交付規程が補助事業の完了の日の属する国の会計年度の終了後5年間と定めており、起算点が自社の決算期ではない点に注意が要ります。法人税は原則7年で起算点は確定申告書の提出期限の翌日、青色申告で欠損金額が生じた事業年度は10年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度)です。会社法第432条第2項は会計帳簿等を帳簿閉鎖の時から10年間としています。実務では最も遅い廃棄可能年月をファイルに明記して管理するのが安全です。

出典:国税庁 タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間国税庁 法人税基本通達(目次)国税庁 質疑応答事例法人税法(e-Gov法令検索)補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)経済産業省 補助事業事務処理マニュアル農林水産省 補助事業経理の手引き中小企業新事業進出補助金 交付規程(PDF・中小機構)

※ 本記事は公表されている一次情報に基づく一般的な整理です。制度の要件・金額・期限は公募回ごとに変わるため、申請時は必ず最新の公募要領をご確認ください。採択を保証するものではありません。

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