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卸・小売向けの新事業進出・ものづくり補助金活用ガイド:対象になりやすい設備・経費、3つの申請枠の選び方、申請で押さえるポイント

最終更新:2026/7/12|監修:中小企業診断士・認定経営革新等支援機関

卸・小売業者はこの補助金を使えるのか?

使える可能性があります。新事業進出・ものづくり補助金(第1次)は「中小企業が新市場・高付加価値事業へ進出する設備投資」を支援する制度です。卸・小売業者でも、既存事業とは異なる新市場への進出や海外販路開拓を伴う事業計画であれば対象になり得ます。ただし、補助を受けるには枠の選択・要件の充足・事業計画の質が重要で、採択が保証されるわけではありません。本記事では3つの申請枠の違いと活用のポイントを整理します。

この補助金の基本:制度の位置づけと公募スケジュール

本補助金は2026年度(令和8年度)に新設された制度で、旧「中小企業新事業進出補助金」と「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の後継として統合されています(両旧制度とは別制度)。中小機構が全国中小企業団体中央会を主幹事者とするコンソーシアムに委託して運営しています。第1次の受付期間は2026年8月31日〜2026年9月30日18時(締切厳守)。公募要領は2026年6月29日に公開済みです。電子申請にはGビズIDが必須で、取得まで2〜3週間かかるため、今すぐ取得手続きを始めることが大切です。

3つの申請枠の違いと卸・小売業者に向く枠の選び方

申請枠は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3種類です。卸・小売業者に特に関係が深いのは以下の2枠です。【新事業進出枠】既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援。補助上限は従業員数によって異なり、補助率は中小企業者1/2(賃上げ特例適用で2/3)。補助対象経費には建物費も含まれるため、新店舗設備や物流拠点整備にも活用できる可能性があります。【グローバル枠】自社商品の輸出体制強化を自発的に行う事業が対象。補助率は中小企業者2/3。取引先主導の事業は対象外であり、自発的な海外販路開拓であることが条件です。補助上限・補助率の詳細な数値は枠ごとに公募要領で必ずご確認ください。

卸・小売業者が計上しやすい補助対象経費の例

各枠共通で計上できる主な経費は「機械装置・システム構築費」「技術導入費」「外注費」「専門家経費」「クラウドサービス利用費」「原材料費」「広告宣伝・販売促進費」などです。新事業進出枠とグローバル枠では「建物費」も対象になります。グローバル枠ではさらに「海外旅費」「通訳・翻訳費」も計上可能です。注意点として、新事業進出枠・グローバル枠では「機械装置・システム構築費または建物費のいずれか」が必ず補助対象経費に含まれていなければなりません。また、船舶・航空機・車両及び運搬具は対象外です。一過性の支出が補助対象経費の大半を占める場合も対象外となるため、設備投資を中心に計画を組み立てることが重要です。

審査で評価される事業計画の3つのポイント

公募要領の審査基準から、特に卸・小売業者が意識すべき点を3つ挙げます。①経営戦略との一貫性:これまでの事業との連続性を示し、なぜ今この新事業・市場に進出するのか合理的な理由を明確にすること。②市場・顧客の具体性:顧客ターゲット・ニーズの裏付け・選ばれる理由が整理されているかが審査項目に含まれています。顧客データや市場調査結果を根拠として示せると有利です。③実現可能性の高さ:付加価値額の年平均成長率4.0%以上が要件とされており、数値目標の根拠と達成に向けた体制・スケジュールを具体的に記載することが求められます。財務状況の健全性や資金調達の見込みも審査されます。

賃上げ特例と補助上限引き上げの仕組み

給与支給総額の年平均成長率3.5%以上などの賃上げ要件を満たす場合、補助上限額が引き上げられます(括弧内の金額が適用)。たとえば従業員数1〜20人の場合、通常2,500万円の上限が3,000万円になります。また地域別最低賃金引き上げ特例を適用すると補助率が引き上げられる枠もあります。賃上げ計画を事業計画に組み込むことで、受け取れる補助金の上限を高められる可能性があります。具体的な要件・計算方法は公募要領で要確認です。

申請前に確認すべき実務上の注意点

①GビズIDの早期取得:電子申請に必須で取得まで2〜3週間かかります。締切の9月30日から逆算して今すぐ手続きを始めてください。②補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)が実施期間です。この期間内に発注・納品・支払いを完了させる必要があります。③採択後も経費審査がある:採択されたことで計上した経費がすべて認められるわけではありません。交付審査・実績報告時に対象外と判断される場合があるため、経費の計上理由を明確にしておくことが重要です。④補助下限額:いずれの枠も補助下限額は750万円に設定されています(補助対象経費ベースではなく補助額ベースかについては公募要領で要確認)。

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よくある質問

Q.卸売業・小売業は業種として対象になりますか?

業種による一律除外は公募要領抜粋の範囲には記載されていません。ただし「技術的革新性のある製品・サービスの開発や既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出」が目的であるため、単なる既存事業の継続・拡大は対象外になる可能性があります。詳細は公募要領で要確認です。

Q.既存店舗のリフォームや改装費用は対象になりますか?

新事業進出枠・グローバル枠では建物費が対象経費に含まれています。ただし「専ら補助事業のために使用される」ことが条件であり、既存事業との共用部分は対象外になる可能性があります。また一過性の支出が大半を占める場合も対象外です。具体的な経費の計上可否は公募要領および事務局への確認を推奨します。

Q.グローバル枠で輸入に関する事業は対象になりますか?

公募要領の抜粋によると、グローバル枠は「海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化」が対象です。輸入に関する事業が対象になるかは公募要領で要確認です。

Q.取引先から求められて始める海外事業はグローバル枠に申請できますか?

できません。公募要領では「取引先主導の事業は自発的な取組とは言えず補助対象外」と明記されています。グローバル枠は自社が自発的に新たな海外販路を開拓する事業に限られます。

Q.補助金は後払いですか?事前に全額自己負担が必要ですか?

一般的に補助金は後払い(実績払い)のため、補助事業実施期間中の支出は一旦自己資金等で賄い、実績報告後に補助金が交付される仕組みです。資金調達の見込みは審査でも確認されます。詳細は公募要領で要確認です。

Q.付加価値額の年平均成長率4.0%以上とはどのように計算しますか?

付加価値額は営業利益・人件費・減価償却費の合計で算出するのが一般的ですが、具体的な計算方法・基準年度については公募要領で要確認です。

Q.採択されれば必ず補助金を受け取れますか?

採択はあくまで候補者としての選定であり、採択後の交付審査・実績報告審査で経費の適否が確認されます。計上した経費の一部または全部が補助対象外と判断される場合もあるため、採択=補助金受給の確定ではありません。

Q.第1次の締切を逃した場合、次の公募はありますか?

第2次以降の公募については現時点の公募要領抜粋には記載がありません。制度は公募回ごとに要件・スケジュールが変更される場合があるため、事務局サイトで最新情報をご確認ください。

出典:新事業進出・ものづくり補助金 事務局サイト公募要領 第1次 p.9 3.公募要領 第1次 p.8 7補助対象経費公募要領 第1次 p.9 8補助上限額(補助下限額公募要領 第1次 p.26 1.補助対象経費の区分」で定める経費です公募要領 第1次 p.26 1.公募要領 第1次 p.42 3.補助対象事業の要件」を満たすか

監修:松下 大(中小企業診断士/認定経営革新等支援機関)

公募要領等の一次情報に基づき作成。最終更新:2026/7/12